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2021年 05月 21日 会社設立起業・開業

起業したらできる節税1

今回は、節税しながら企業のリスク管理もできる「中小企業倒産防止共済」について、制度の内容や加入するメリット、注意点を解説します。

 

 

中小企業倒産防止共済とは

中小企業倒産防止共済とは、中小企業が取引先の倒産によって共倒れすることを防ぐための共済制度です
多くの企業は、売上金を回収しながら日々の支払いを行っています。
ところが、売上金を回収するはずの企業が倒産してしまったとき、最悪の場合、こちらまで連鎖的に倒産するリスクがあります。
中小企業倒産防止共済は、取引先が倒産した企業にスピーディに貸付けを行い、共倒れを防ぐ制度です。
「経営セーフティ共済」ともいいます。

中小企業倒産防止共済の加入資格

加入できるのは、1年以上事業を行っている中小企業者です
中小企業者とは、資本金等の額または常時使用する従業員数が一定数以下の法人や個人事業主をいいます。
金額や人数は、業種ごとに以下のとおり定められています。

 

中小企業倒産防止共済の3つのメリット

有事の際の貸付金でリスクに備えられる

中小企業倒産防止共済では取引先の企業が倒産した場合、それまでに払い込んだ掛け金総額に応じて「共済金の貸付け」を利用することができます。
貸付けの限度額は
・掛け金総額の10倍(最大8,000万円)
・回収困難となった売掛金等の額
のいずれか少ない額です。

貸付けですので返済しなければならないのですが、無担保・無保証・無利息であるため、スムーズに受けられます。
返済期間は貸付金額に応じて5年~7年で、いずれも6ヶ月の据え置き期間を含みます。
このほか取引先の倒産にかかわらず利用できる「一時貸付金」の制度もあります。
貸付金額は掛け金の納付月数に応じて、掛け金総額の約70%~95%で、こちらは利息が発生します。

掛け金で節税できる

中小企業倒産防止共済に払い込む掛け金は、その全額が、法人の損金・個人事業の必要経費になります。
たとえば毎月10万円の掛け金を払い込んだ場合、法人や個人事業の経費として、毎年120万円を計上することができます。
掛け金の額は、月額5,000円から20万円で、5,000円単位で選択可能です。 ただし、払い込める掛け金の総額は800万円までとなります。

解約手当金が受け取れる

中小企業倒産防止共済は、解約することも可能です。
解約すると、それまでの掛け金納付月数に応じて「解約手当金」が支払われます。
自ら解約する「任意解約」の場合、解約手当金の額は、掛け金総額の80%~95%となります。

 

<任意解約における解約手当金の額>

12ヶ月未満で解約すると、解約手当金がないので注意してください。

中小企業倒産防止共済の注意点

中小企業倒産防止共済には、注意点もあります。

解約手当金が課税対象に

解約手当金は、法人や個人事業の収入扱いとなり、法人税や所得税の課税対象となります。
すると仮に、掛け金総額と同額の解約手当金を受け取った場合、全体的に見るとこれは所得に対する課税のタイミングを先送りにしているだけ、ということになります。
たとえば大きな支払いがあるときに解約するなど、解約する時期を考えておくことも大切です。

貸付金の利用で掛金総額が10%減る

取引先が倒産したときに利用できる「共済金の貸付け」は無利息であるとお伝えしましたが、その代わりに貸付金額の10分の1に相当する額が掛け金総額から差し引かれます。
払い込んだ掛け金が減るため、実質的には利息を払っているのと同じです。
ただし主要な取引先が倒産し、すぐに数千万円が必要というときに融資先を探すのは大変ですのでリスク管理としては十分役立ちます。

 

※この記事は、中小機構の中小企業倒産防止共済(平成30年9月)の制度のしおりの内容に基づき執筆しています。